私は賞状の筆耕の仕事をしています。この年度末は感謝状や卒業証書筆耕の依頼が重なるので、とても忙しい時期の1つです。

私は小さい頃から習字を習っていて、きれいに字を書くことが好きで小学校6年間習い続けてきました。基礎をしっかりとしてもらっていたので、辞めても字が崩れることなく書くことができています。

結婚をして仕事を辞めてから専業主婦になりましたが、何か仕事をしたいと思うようになった時に筆耕の仕事を紹介してもらいました。書類や郵便物に宛名を書く仕事から始めたのですが、字を書くことが好きな私にはとても向いているように思いました。

経験を重ねていくうちに、最近では賞状の名前書きをさせてもらっています。以前賞状の名前を書いていた人が、体調を崩して仕事を辞めてしまったので私の所に依頼をしてくれました。

表彰状は一生持つものでもあるので最初はとても緊張をしましたが、1つ1つ丁寧に緊張感を持ってすることはとても楽しいです。ずっと好きだったことを仕事にすることができるとは思っていなかったので、今はとても貴重な経験をさせてもらっています。

忙しい時期はとても大変ですが、バランスをとりながら仕事をすることができるし家の中での主婦の仕事と両立をすることができるので、とても満足をしています。

筆耕~賞状や感謝状を書いて収入に

毛筆で文字を書くことが好き、あるいは得意なら賞状や感謝状などを毛筆で書いて稼ぐ筆耕士という仕事があります。

「士」がつきますが公的資格ではありません。

賞状や感謝状だけでなく、結婚披露宴や同窓会など少し改まった宴会の座席表や献立表を書く仕事もあります。その他、お礼状の代筆などにも需要があります。

筆耕の仕事をするためには、毛筆で整った楷書を書く能力があることが条件です。

現代人は筆で字を書く機会がほとんどなく、お通夜や告別式、神社などでの受付のときに困る人が多いのではないでしょうか。それでも既述のように、毛筆で書かれた字には現在でも一定の需要があります。

パソコンのソフトで、毛筆フォントを使って作成・印刷することもできますが、やはり、墨を使って人の手で書かれた文字には、温かみという面でかなわないでしょう。

筆耕は座ってできる仕事なので、年を取っても、持病があっても長く続けることができる仕事です。就業条件によっては在宅でも可能なので、小さい子どもがいても働くことができます。

毛筆で字を書くことが好きなら、趣味がそのまま実益につながるのでお奨めのアルバイトです。

筆耕の仕事はアルバイト募集のサイトで探してもいいし、通信教育講座を受講すると、その後の仕事も紹介してくれることがあります。ハローワークで探すときにも、筆耕は特技として登録できるので良いでしょう。

賞状や宛名を書くのが筆耕です

案内状や賞状などを毛筆で書き上げる仕事を筆耕と言います。同じように筆文字ですが書道とは異なるものです。

筆耕にはトレース台という下から照明を当てる装置を使います。はがきの宛名書きの場合、まずアウトラインを書いた下書きを用意して、その上にはがきを載せて下から照明を当て、浮かび上がったアウトラインに沿って整った楷書で書き上げます。

様々な賞状、小・中・高の卒業証書、資格の証明書、表彰状、感謝状、各種の熨斗、招待状、案内状、年賀状など筆耕の仕事は誰でもどれかひとつは手にしたことのあるものです。

ところが近年はパソコンとプリンターが広く普及したうえに、数多くの筆耕ソフトが存在するようになって、手書きの筆文字を見かけることが少なくなってしまいました。

同じように今は少なくなってしまいましたが、かつては多くの一般の企業に筆耕の担当者が在籍していました。日本の社交儀礼上、筆文字でなくてはならない事柄というものが存在するからです。

現在でも百貨店では、お歳暮、お中元をはじめとした贈答品に掛ける熨斗に筆耕する担当者を確保しています。結婚式場では数名の筆耕者が常に働いていて、案内状、案内板、式次第、座席札、目録などを書き上げています。